ファミコンソフトのメーカー別年間発売本数を集計する - その3

3位: コナミ/ 83本

        |83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94
RCxxx   | 0  0  6  3  6  7  5  5  5  3  3  0
KDS-xx  | 0  0  0  0  3  2  4  3  3  1  1  0
DISK    | 0  0  0  3 11  9  0  0  0  0  0  0
total   | 0  0  6  6 20 18  9  8  8  4  4  0

任天堂生産品の型番たる KDS の本数制限が 3 であることは分かりますが、パッケージに名義貸しの社名が存在しません。他社とは異なり、87年からこの手法を使っています。

自社生産品でも年間本数が 6,7 と多く、5より大きい数が設定されているように思われます。87,88年はディスクの発売本数も異様に多いのがコナミの特徴です。

この表以外には1986年にサーカスチャーリーがソフトプロからでていますが、移植元のソフトがコナミという記載のみで、ソフトプロの連絡先がかかれています。

2位: バンダイ系/ 87本

        |83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94
local   | 0  0  3  5 10  3  6  4  5  4  3  0
sub     | 0  0  0  0  1  1  0  0  0  0  4  1
BAN-OZ  | 0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0
SHI-xx  | 0  0  0  0  0  2  3  3  3  3  2  0
ANG-xx  | 0  0  0  0  0  0  0  0  2  2  2  0
disk    | 0  0  0  0  6  5  3  0  0  0  0  0
total   | 0  0  3  5 17 11 12  7 10 10 11  1

※超時空要塞マクロスを含む
  • local: 型番不明。BANDAI のカセット, 超時空要塞マクロス, カラオケスタジオ本体, データック本体+ドラゴンボールZ(この組み合わせで1本とする)
  • sub: バンダイ扱い。カラオケスタジオ専用カートリッジ, データック専用カートリッジ
  • BAN-OZ:エンジェル扱い。それいけ!アンパンマン みんなでハイキングゲーム!
  • SHI-xx:シンセイとユタカ。シンセイがユタカに社名変更したが、型番は変更無し
  • ANG-xx:エンジェル。
  • disk: 全てバンダイ
  • バンプレストは関係は浅いと判断し除外した
  • ビーアイはよくわからないので除外した

玩具メーカーとしてサブカートリッジや専用の周辺機器などおもちゃメーカーとして機能しているのが今見ると楽しいかもしれません。(大半はアニメキャラクターのビデオゲームですが...)

SHI-xx のパッケージには「製作・発売元 新正工業株式会社」または「製作・発売元 株式会社ユタカ」「販売元 株式会社バンダイ」と併記されています。

ANG-xx のパッケージには「発売元 株式会社バンダイ」「販売元 株式会社エンジェル」と併記された上で、バンダイとエンジェルの連絡先が書かれています。発売元がバンダイになっており、2口目の会社の連絡先が記載されているのはこれだけです。

バンダイの場合は87年の本数が異様に多い以外は制限本数 5 で推移しています。シンセイの制限本数は 3 で、それの補充としてエンジェルを追加した模様です。87年だけは5本制限2口といった形で翌年88年以降は複数名義方式が確立されたように見えます。

92年の BAN-OZ の型番の振り方は不明です。中身の ROM の印字は ANG-OZ となっています。

91年以降中高生が他機種に移行する中、残った小学生向けにソフトの本数を変えていないのがおもちゃメーカーらしいと思います。バンダイのサブカートリッジ戦略はスーパーファミコンでも展開されたので、ライセンス費用を軽減できる仕組みなのかもしれません。

1位: ナムコ/ 89本

        |83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 
local   | 0  1  7 10 14 14 16  8  6  6  1  0 
DISK    | 0  0  0  0  0  0  0  6  0  0  0  0 
total   | 0  1  7 10 14 14 16 14  6  6  1  0 

※超時空要塞マクロスを除く

ナムコにはおそらく制限本数がありません。他社と違う点を列挙します。

  • 任天堂生産品が存在しない
  • ディスクに新作を出していない
  • 書き換え専用で出したタイトルも任天堂の許諾画面が出ないように細工されている
  • なぜか NES にも進出していない

この項目は今回出た数字について憶測だけで書きますので、信頼性は非常に低いです。この点についてご了承の上、お読み下さい。

まず最初に考えられるのはディスクシステムとの関係で1986年頃にディスクのソフト供給に関して、 ROM カートリッジの本数制限についても同時に受け入れるように任天堂から要請が来たものと思われます。ナムコ以外はこれを受け入れたために良好な関係が続きましたが、ナムコは反対の方向に行ったようです。

結果としてディスクシステムは失敗したので、ナムコは ROM カートリッジのソフトを好きなだけ出せたのでしょう。

もう一つは NES との関係でナムコNES カートリッジを販売していません。非ライセンス状態で Tengen から発売されたり、ライセンスメーカーから一部のソフトが販売されただけです。NES と関係が深い業務用ファミコンボックスにもソフトはでていません。 (VS.System はそれより古いのかいくつか出ている)

90年に6本出たディスクのソフトはラインナップ充実のために任天堂が要請したのかわかりませんが、許諾画面がでないのは ROM ソフト発売本数制限を維持するためだったのでしょうか。

バンダイとは対照的に90年以降は中高生向けに多機種へ移行した模様です。

追記: 新・電子立国の書籍に1989年にナムコ任天堂に制限本数に関して文句を言ったが、結局のところ折れたという記述が見つかりました。この記述が正確な情報かは怪しいのですが、文句を言い始めたのはそれより前で1989年に折れたという解釈であれば、1990年以降の発売本数が減っている可能性はあります。しかし、この頃はスーパーファミコンPCエンジンメガドライブと他の新ゲーム機への移行期間もありますので、単純に本数を減らしたことも影響しているのか、書籍の記述が間違いか、両方とも複合しているのかはわかりません。

おまけ: 任天堂/ 92本

        |83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 
HVC,FMC | 5 10  6  6  2  5  3  2  3  4  3  2 
DISK    | 0  0  0 13  8  9  6  2  2  1  0  0 
total   | 5 10  6 19 10 14  9  4  5  5  3  2 

初期はラインナップの充実を目的にたくさん出していますが、安定すると一般的な本数制限を自主的に守っているように思えます。